中国税関総署が7月14日に発表した貿易統計(米ドル建て)によると、2025年4~6月期の中国の対米輸出は前年同期比24%減となった。トランプ政権による一時100%を超えた対中関税の影響で、中国の対米出荷は大幅に減少している。一方、東南アジア向けは増加している。四半期データによると、新型コロナウイルスの流行で中国の経済活動がほぼ停滞した2020年1~3月期の中国の対米輸出は25%減少した。2025年4~6月期も同様の減少幅だった。月次データによると、4月期の対米輸出は前年同期比21%減、5月期は35%減と、減少幅が拡大した。6月期の減少幅は16%に縮小したものの、依然としてマイナス成長となっている。これらの状況はすべて、米国が中国に対して課した追加関税によるものです。4月、米国は中国に対し累計145%の追加関税を課しました。5月にスイスで開催された閣僚級会合での合意に基づき、両国は関税を115%削減しました。その後、米国は中国に対し30%の追加関税を、中国は米国に対し10%の追加関税を課しました。
中国の4月から6月までの輸出全体は前年同期比6.2%増加しました。これは、1月から3月の5.7%を上回っています。地域別に見ると、最大の輸出先であるASEAN向けは前年同期比18%増加しました。欧州連合(EU)向けは前年同期比9%増加し、日本向けも前年同期比7%増加しました。米国以外の地域への出荷の加速が、全体の成長を牽引しています。
中国の東南アジア向け輸出は、米国への迂回輸出にもなりかねない。キャピタル・エコノミクスのレポートによると、中国から米国への輸出は、インドネシア経由が5月に前年同月比25%増、ベトナム経由が30%増となった。これは、米国の対中関税を回避するためとみられる。
中国は、東南アジアなどへの輸出競争力を高めるため、為替レートを人民元安方向に誘導している。中国人民銀行傘下の中国外為取引センターのデータによると、人民元の総合的な価値を示す「CFETS人民元為替レート指数」は7月4日時点で95.3となり、2020年12月以来の安値を更新した。7月11日時点では95.6と小幅上昇したものの、依然として低水準にある。